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2025/04/15

コーヒーを飲みながら環境を語る (7) ドイツの原子力発電の廃止

ライン河下りはリューデスハイムから出発して約4時間半の船旅でコブレンツに到着します。さらに下っていくとミュールハイム=ケルリヒ (Mulheim-Karich)という町に到着します。実はこの町に原子力発電所が設置されました。



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 ライン河下り

 

1980年代から2000年代初頭にかけて、当時は19基の原子力発電所がドイツにあり、総電力供給の約30%を原子力発電が担っていました。ドイツに住んでいた時にライン河歩きをしていると前方に原子力発電所らしいのが見えてきました。休憩で入った小さなレストランで地元の人に聞いたらここはミュールハイム=ケルリヒ原子力発電所(写真1)で住民運動もあって稼働しないままになっているということでした。

  
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写真

1 撤去が決まったMulheim-Karich原子力発電所(右側はライン河で数字はドイツのライン河の源流から604kmの距離)

 設置後、原子力発電所の敷地内に活断層の一部が走っていることから1998年1月に閉鎖されました。この原子力発電は一度も稼働しないまま閉鎖が決まり、その後、撤去が決定され、撤去されました。「ドイツの消えゆく原発」という題名で、撮影した写真で撤去状況が紹介されています。背景には1986年のウクライナ・チェルノブイリ原子力発電所での原発事故で汚染された空気が、欧州の様々な国にもたらしたために原子力発電の見直しの気運が高まるきっかけとなり、ドイツでも原子力発電の廃止について真剣に討議されました。その結果、ドイツでは原子力発電所の段階的廃止で政府と電力業界が合意しました。ドイツが原子力発電を廃止した背景には、長年の反原発運動と2011年3月11の東日本大震災に誘発された津波による福島第一原子力発電所事故の影響が大きく関わっています。1970年代から激しい反原発闘争が展開され、市民の間で原子力に批判的な意見が強まっていきました。1980年に脱原子力を政策目標とする「緑の党」(Green Party)が結成され、1983年に連邦議会入りを果たしました。1986年のチェルノブイリ原発事故後、ドイツ南部で放射能汚染が確認され、原子力に対する不信感がさらに強まりました。そのような状況の中で、福島第一原子力発電所事故を受け、メルケル政権は急速に脱原発政策へ転換しました。

東日本大震災事故から4カ月後の2011年7月8日、ドイツ議会はすべての原発を廃止する法律を可決しました。福島原発事故直後の世論調査では、86%の回答者が「2020年頃までには原発を廃止するべきだ」と答えています。

「緑の党」の影響力が増大し、2011年初めの支持率は約20%で、議会で3番目の勢力となっていました。保守政党も、選挙で「緑の党」に票を奪われることを懸念し、脱原発派に転向しました。このような政治的要因も複合的に作用し、ドイツは脱原発政策を推進することになりました。2023年4月15日に残存3基の原発を停止し、「脱原発」を完了しました。ドイツ政府は、原子力発電を段階的に廃止し、再生可能エネルギーへの移行を目指しており、2050年までに再生可能エネルギーの比率を80%に引き上げる計画です。ドイツは、2010年までに再生可能エネルギーによる電力供給量を全エネルギーの10%までに向上させる法律を2000年に制定されたため太陽光発電や風力発電などが盛んになった背景があります。再生可能エネルギーの2大電源は、太陽光発電と陸上風力発電で、2024年第3四半期で再生可能エネルギーが過去最高を記録し、58.4%となりました。ドイツに在住した時にハイキング・ウォーキングやドライブで、色んな場所を訪問しました。ドイツの各地で、多くの風力発電所(写真2)をみることになり、年を追うごとに設置が増えていると実感しました。

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写真2 ドイツの風力発電機

ウクライナ戦争の影響でドイツはロシアからの天然ガスの供給が逼迫し、エネルギー政策に大きな影響を受けました。このような状況下で、ドイツは電力供給を維持するため、再生可能エネルギーの導入を加速するとともに、石炭火力発電への依存度を高めています。

参考資料 INDUST 2010年4月号

<こぼれ話し>

地球が動いてしまう!ドイツでは再生可能エネルギーを利用した風力発電機があちこちで見ることができます。中には活きよい良く回転していています。ドイツで、ハイキングで歩いていると活きよい良く回転している大型の風車の下(写真2)を歩いていた年配の女性は、「ああ!地球が動いてしまう!怖い!」・・・と。

活きよい良く回転している大きなプロペラを見てプロペラ飛行機を思い出して、地球が動いてしまうのではないかと心配したこぼれ話しです。

 

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