花王株式会社 訪問 グリーン舗装の提案 (期待される廃PET活用高耐久アスファルト改質剤)
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今回は廃棄されるPETボトルを活用して道路舗装の改質剤を開発した花王株式会社ケミカル事業部門を訪問し、開発のきっかけや製品の特長、導入実績について話を伺った。対応していただいたのは機能材料事業部エコインフラ リーダー 酒寄 智視氏、同 機能材料事業部 エコインフラ 疋田 真奈人氏である。(写真左:酒寄 智視氏 写真右:疋田 真奈人氏)
- 廃PET活用高耐久アスファルト改質剤ニユートラック 5000開発のきっかけ
弊社は家庭用品の企業と見られがちですが、弊社のケミカル事業は花王グループ全体の売上高の約20%を占めており、本事業においては従来から道路舗装用の各種添加剤の販売をしてきました。今回の廃PET活用アスファルト改質剤はその研究開発の延長線上にあるものです。花王のコピー機用トナーバインダーの技術(ある一定温度で溶けるポリエステル樹脂)を道路舗装に応用できないかというアイデアがニユートラック 5000の開発のきっかけになっています。そして、この開発は弊社のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」のプラスチック資源削減・再利用の活動の流れに沿ったリサイクルイノベーションの1つと言えます。
- ニユートラック 5000の特長
弊社のアスファルト改質剤を使用することにより従来のアスファルト舗装と比較すると大きく以下の5つの優位性があげられます。(資料出典:花王㈱ケミカル事業部門 機能材料事業部 エコインフラ グリーン舗装の提案より)1.高耐久化(資料1-1、資料1-2)、2.施行工期の短縮(資料2)、3.舗装の黒さ・美観の維持(資料3)、4.廃ペットを活用し環境貢献(資料4-1、資料4-2))
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資料1-1 資料1-2
1.高耐久化に関しては(資料1-1、1-2)を見ていただければわかりますが、道路舗装には大きく3種類あります(①コンクリート舗装、②半たわみ性舗装(アスファルト+セメント使用した舗装)、③アスファルト舗装)。③は非常に安価で施工性に優れるという長所がありますが、わだち掘れ等の耐久性についての課題があります。耐久性が求められる重交通箇所では従来②を適用するのが日本では一般的ですが②の場合工期が長くかかるという欠点があります。上記の2つの問題を解決したのが、アスファルト改質剤『ニユートラック5000』です。
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資料2
2.半たわみ性舗装との比較です。
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資料3
3のアスファルト舗装の黒さ・美観の維持については、通常のアスファルト舗装に比べ『ニュートラック』を使用したアスファルト舗装の方が白線の視認性向上に加え、駐車場の美観性向上にも貢献できると考えています。
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資料4-1 資料4-2
4.廃PETを活用した環境貢献ですが、(資料4-1,4-2)の通り廃PETを単純に混ぜているのではなく、特殊な添加剤と共に化学反応させ、全く新たな素材へと生まれ変わらせています。それをアスファルト混合物にわずか1%程添加することで高耐久化を実現するというケミカルアップサイクル(価値の低い素材に手を加えてより高い付加価値を生みだすこと)を具現化いたしました。
- ニユートラック5000の導入事例
ニュートラック5000の導入実績は以下になります。(資料出典:花王㈱ケミカル事業部門 機能材料事業部 エコインフラ グリーン舗装の提案より)
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ヒアリングを終えて
PETボトルのリサイクルに関して筆者はいままでいろいろな取組を見てきたが、いざ製品化されて使用する段階になるとなかなか前に進まないものが多かったような気がする。理由は「環境に良い>使用者側のメリット」という式が一般的だったからだと推測している。今回話を聞いていて「環境にも良い=使用者側のメリット」という原則を再認識させられた気がする。ケミカルアップサイクル(価値の低い素材に手を加えてより高い付加価値を生みだすこと)はまさにこの原則を地でいっているのではないだろうか?ケミカル事業部門 機能材料事業部の多分野での今後の活躍に期待したい。
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