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2022/03/27

コーヒーを飲みながら「環境」を語る (2)「バーゼル条約」とは?理事 青木正光  

筆者が、環境に関係することになったのは、欧州に訪問したのが縁で始まりました。スイスの「バーゼル」に訪問する機会がありましたので有害廃棄物に関係深い「バーゼル条約」について紹介しましょう。

1.バーゼル条約で知られる「バーゼル」へ

実装関係のビジネスに携わった関係で、米国に続き、欧州と関係を持つようになりました。個人ベースでは、1980年にイギリス、フランス、イタリアの3カ国には駆け足で訪問したことがありましたが、業務で初めて欧州に出張したのは、1994年の冬の寒い12月で、スイス、英国、スウェーデンの3カ国を訪問しました。欧州に訪問する機会が巡ってきたのは、幸運なことにスイスのバーゼルで開催される欧州のプリント配線板協会(EIPC)主催の冬季大会での発表要請があったからで、初めてスイスを訪問することになりました。山や自然の好きな筆者は、アルプスの山々をまの当たりにすることができるのでスイスを訪問できるのは、またとない機会と思い発表資料の作成には全く苦にならず準備しました。当時、日本からはドイツのフランクフルト空港までの直行便で行き、翌日の飛行機便に乗り継ぎ、スイスのバーゼル空港に行くことになりました。フランクフルト空港に到着したのが夕方に近い午後でバーゼル行きの夕方便は到着した日にはなく、フランクフルトで1泊することになりました。幸運なことに同じ航空会社の便を利用したため宿泊代は航空会社持ちで、フランクフルト空港前にあるシェラートンホテルに宿泊することができました。さて、初めてのスイス訪問でワクワクしている状況の中で、飛行機がバーゼルに近づき、機内アナウンスで着陸を告げる案内がありました。雲一つない快晴の下の飛行で、外を見ると山らしき山が見えません。12月にも拘らず雪もありません。本当にスイスに近づいているのであろうか?・・・と思ったぐらいです。スイスに近づいて来たので当然ながら高いアルプスの山々があり、雪が積もっていると思っていました。しかし、ほぼ平らな平野に着陸するような感じでしたので「ヒョットすると違った空港では?・・・」と頭の中をよぎりました。以前、米国で、間違えて別の州の空港で降りてしまった苦い失敗経験がありましたので、不安になり、どこでミスしてしまったのかと思ったぐらいでした。フランクフルト空港で搭乗案内があった時に行き先を確認して乗っており、ミスは無い筈と思いつつ、着陸して空港に近づくと”EuroAirport”となっているではありませんか!バーゼル空港でないと思い、間違えたのか、それとも離陸して更にバーゼル空港まで行くのかと思いました。よく見ると”バーゼル・ミュールーズ・フライブルグ”と記載されており、バーゼルと言う名前があるので間違いないようでもあるし、一抹の不安に思いながら降りました。

Euroairport

EuroAirport

そして、入国審査するのに前を歩いている人に付いて行っただけで、入国審査を受けるのに何も疑いを持ちませんでした。なんとバーゼル空港は、スイスにあるのではなく、フランス領にあって、入国するのにスイス入国口のみならずフランス入国口の二つがあり、スイスに入国しないで誤ってフランスに入国してしまうと厄介になることは、あとになって知った状況でした。この時は、偶然、スイス入国口に行き、問題なくスイスに入国しました。こんなことを全く知らない状況で、スイスのバーゼルに行けば、スイスと思い、アルプスの山々があると思っていたのは大きな間違いでした。日本の空港に着いたら、そこは日本ではなかったという信じられない状況をスイスで体験しました。このバーゼルは、フランス、スイス、ドイツの3カ国の境界となる場所がライン河の中にあり、それを示す碑がある場所でもあります。3国が接する位置になります。こんなことがあって、3年後の1996年には、このバーゼルで第7回電子回路世界大会が開催され、座長の立場で参加する機会を得、幸運なことに再び、バーゼルに訪問することができました。丁度、この頃、電気・電子機器に含有する有害物質がWEEE指令の草案に挙げられて議論されて時期でしたので、環境調和型製品の発表の場ともなり、欧州では環境配慮に力を入れていることを知りました。この時の関わりからも以降、環境に深く関係することになりました。

 

2.「バーゼル条約」とは?

さて、このバーゼルの名前は、環境分野でも使用されています。実は国連環境計画 (UNEP)で検討された「有害廃棄物の越境移動およびその処分の規制に関する条約」がバーゼルの地で、締結され、通称「バーゼル条約」と言われます。バーゼルに訪問する機会があり、バーゼルに因んだ条約だったので大変、興味深く、条約を読みこなしました。1989年3月に検討され、158カ国が批准し、1992年5月に発効した有害廃棄物の越境について取決めされた条約です。この「バーゼル条約」を検討するに至ったのは、1976年7月、イタリアのセベソで農薬工場が爆発を起こし、ダイオキシン汚染事故となりました。そのダイオキシン汚染土壌を入れたドラム缶が1982年9月に行方不明となり、8カ月後にフランスの村で発見された事件を契機に有害廃棄物の国を越えての越境移動管理について検討が開始されました。さらに1987年6月、イタリア企業がナイジェリアのココ港にポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む有害廃棄物を不法投棄した事件で、イタリア政府が非を認め、カリンB号(ドイツ船籍)に有害物質を回収して欧州に向けて出港したものの住民により入港を拒否され、公海をさまよった事件がありました。これらの問題により、有害廃棄物の越境問題が真剣に検討され、「バーゼル条約」となりました。そして1992年に発効された「バーゼル条約」は、2019年に改正され、2019年6月現在、187カ国が「バーゼル条約」に批准していますが、米国はOECD加盟国ですが、残念なことに「バーゼル条約」は締結していません。

<解 説>


バーゼル条約

 1980年代に、ヨーロッパの先進国からの廃棄物がアフリカの開発途上国に放置されて環境汚染が生じるという問題がしばしば発生したことを受け、こうした課題に対処するために1989年3月、スイスのバーゼルにおいて一定の有害廃棄物の国境を越える移動等の規制について国際的な枠組み及び手続等を規定した「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」が採択されました。

参考資料

INDUST 2008年6月号

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