「電力不足と企業努力」 柴野会長より
地球温暖化の問題は1950年代から議論されているが、1992年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」で、「気候変動枠組み条約」が採択され、155にも及ぶ国が署名したことから、急速に現実味を帯びてきた。その後、1995年京都で開催された第3回締約国会議において、削減目標等を定めた京都議定書が採択され、2002年に京都議定書を批准した日本も、二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けて官民あげて努力を重ねてきた。二酸化炭素(CO2)排出量削減とはどういうことなのか、一般的に、二酸化炭素(CO2)排出量削減とは、エネルギー使用の効率化・削減のことを指す。私たち環境分野の人間は、地球温暖化問題解決の手段として二酸化炭素(CO2)排出量削減を企業等に要請する。そして、企業側は、建前として地球温暖化対策としての二酸化炭素(CO2)排出量削減を実施する。しかし、本音は、エネルギー使用量の削減で経費の削減を図り、健全経営が目的だという企業が多いのではないか。
私が企業を訪問して、環境問題としての二酸化炭素(CO2)排出量削減を持ち出すと、省エネは十分に実施しており、これ以上の削減は難しいと言われる経営者が多く、このような状況にまで努力してきた企業にとって、今回の原子力発電における事故の結果としての節電要求は、経営者の頭を悩ましている。製造業では、休日を変更して、土日に仕事をする会社、減力使用量の少ない夜間に就業時間をシフトする会社、海外移転を進める会社等、会社の生き残りを賭けて必死に対応している。一方、人を対象とするサービス業などは、上記のような対応が取れない。店舗の明かりをすこし暗くする、エレベーター・エスカレーターの一部を止めるなど、お客さんの協力がないと実現できないような対策をとっている。
私の知っているホテルの経営者の意見(気持ち)を紹介しておく。
『私たちのホテルを利用してくださる皆さんは、何を求めて来てくださるのか。一年に何回もあるものではない心身のリフレッシュの旅。心を癒して次への活力にしようと来てくださるお客さんが多い。そのような目的でこられるお客さんに満足してもらうのが私たちの勤めである。お客さんの見えないところで節電の努力をして、それでも目的が達成できないときは、心ならずもお客さんに協力をお願いする。このような状況から一刻も早く脱却して、心身ともにリフレッシュして満足していただいたお客さんを送り出したいものである。』このように、全国の企業がぎりぎりの努力をしているという実態を東京電力の幹部は知っているのだろうか。非常事態マニュアルの提出状況を見ると、国民に迷惑をかけたとの反省がどこにも見当たらない。
写真:イメ-ジイラストより
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