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2011/04/01

柴野会長 特別寄稿 「原発災害に思う」

東北地方太平洋沖地震という巨大地震に見舞われ被災された方々に心からお見舞い申し上げます。とともに長期に亘ると予想される復興への活動にあたっては、健康に留意して、頑張られることを願っております。

今回は巨大地震、巨大津波に加え原子力発電所の問題が重くのしかかりました。
災害につきものですが、エネルギーの供給が喫緊の課題となります。電力では計画停電をやったりやらなかったりと、需要する側が大きく振り回されています。そこで、未曾有の被害を蒙ったとはいえ、なぜこれほど国民の不安、恐怖心を増幅したのかを検証してみたいと思います。狭い日本で60サイクルと50サイクルという2種類の電気が存在することが問題といえます。周波数の統一は、おいそれと簡単にはいかないと思いますが東海地震、東南海地震、南海地震の発生が懸念されている折、電力会社ではサイクル変換装置の増強は考えていなかったのでしょうか。
電力会社のホームページを見ると、「リスクマネジメントはきっちりやっています。」とか、「災害ゼロを目指しています。」といった言葉が目に付きます。そして、今回の事故は、想定外の地震、津波によるものだと説明します。
災害ゼロを目指すのは結構。しかし、原子力に想定外があってはならないといわれますが、それでも想定外の事故が発生したときに、被害を最小限に抑える手法を考えておくのがリスクマネジメントではないでしょうか。
電力会社は、公務員以上に公務員的であるといわれますが、これは決して良い意味で言っているのではないと考えるべきでしょう。『電力を供給してやっている』という姿勢から『電力を買ってもらっている』という姿勢に変わらない限り、危機管理に対する姿勢も変わらないでしょう。

今回の災害では、放射能汚染の問題が住民不安をさらに大きくしています。唯一の被爆国民にとって、放射能汚染に対して必要以上に恐怖心を抱いても不思議ではないでしょう。今回の震災では、このことが明らかになりました。では、何がこれほどに恐怖心を抱かせたのでしょうか。理由は二つと考えています。
一つは、当事者の説明にあります。われわれ国民は、原子力に無知な人間が大多数だといえます。何も知らない人にわかりやすく説明するのが専門家の務めです。極論すれば、それが出来なければ説明しないほうがいいのです。公害に関する環境基準や水道水の飲用基準など、日本の基準は他国に比べても厳格なものです。そのため、基準の意味をよく理解しないと、誤解が混乱を生みます。事実の公表は必要です。しかし、事実の羅列だけでは、国民に混乱をもたらすだけで、何の効果もありません。
国民への説明を担当する者(今回の場合、国及び東京電力のスポークスマン)には自分の頭でよく咀嚼してから、国民に分かるように報道発表することが求められるにもかかわらず、何を言っているのか理解に苦しむ場面がしばしばありました。これでは逆効果です。

もう一つは、マスコミの報道にあります。「悲惨な災害です」「放射能漏れはさらに深刻です」など、不安や恐怖心をあおるような報道ばかりです。このような記事を書くために各社、各局が多くの人材とエネルギーを使って現地取材をするなら、その分、被災者に回してもらいたいと声を大にしたい。
報道の記事、ビデオには、いまだに「独自取材」、「独自入手」といった表現が横行しています。このような非常事態において代表取材がなぜ検討されないのか、不思議でなりません。報道は凶器だといわれるように、報道によって国民の気持ちが煽られ、揺れ動きます。また、国民の気持ちを沈静化し、冷静に行動できるように誘導できるのも報道です。社会の公器としてのマスコミにTPOを考えた、将来を展望できるような取材・報道を求めたい。


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