



地球は水の惑星といわれている。また水は環境のバロメーターともいわれている。水は私達日本人にとって当たり前のように存在して、普段の生活の中で水の重要性や機能についてあまり考えたことはない。今回は、水処理というと必ずその名前があがるオルガノ株式会社を訪問して私達の生活に大きな影響を及ぼす水と水処理技術についてお話を伺った。対応していただいたのは経営企画部 七海匠氏である。
- 社名の由来について
オルガノという社名は当社のイオン交換樹脂の有機ゼオライト(オルガニックゼオライト)、略名「オルガノライト」からきています。イオン交換樹脂は、水処理装置に組み込まれ、塩分の分離・除去や有用成分の濃縮に用いられています。
- 水と水処理技術について
水は様々な機能を持っています。飲み水として生命維持の機能、汚れを洗浄する機能、物質を溶解したり熱を運ぶ媒介としての機能、等 これらの水の機能をうまく引き出したり、回復させる技術を総じて水処理技術といっていいでしょう。水にはいろいろな物質が溶け込んだり混じっていますので、機能に有用な物質や無用な物質を分別すればその機能が引き出せるわけです。たとえば飲料水に含まれるミネラル(カルシウムやマグネシウム)でもボイラーなどの工業用の水には無用な物質(スケ-ル:酸化物皮膜)なので、これらを分離・除去した水を使用したほうがいいわけです。また、家庭や工場から出る排水の有機物は、川や海の酸素を消費してしまうので、有機物を低減(分離・除去)して環境負荷の小さい水に回復させて自然に戻すことにより自然環境を保全できるわけです。このように水処理の技術とは水の用途によって水の中に含まれている物質を分離・除去し、水の機能を引き出し強化・回復し再生する技術であるといえます。
- 適水適所 (水の用途に合った水の必要性)
水の用途とは大きく飲料(生活)用と産業用に分けることができます。飲料水は体に入るものですから安全第一で、有害物質や臭いや病原菌等の除去はいうまでもありません。弊社の膜技術による濾過装置、オゾン処理技術はおいしい安全な水の機能を引き出しています。産業用の水の機能の範囲は広く、代表的なものをいうと半導体や液晶ディスプレイー部品の洗浄水、火力・原子力発電所、医薬品製造向け、等です。半導体はウェハー上の微細回路に不純物が残るとショ-トや絶縁で不良品になってしまいますので、洗浄水として超純水(不純物が含まれない水:限りなく不純物が0に近い水)が用いられます。この分野では弊社の超純水製造装置が活躍しています。また。原子力発電所や火力発電所などではタービンを回す水蒸気を水に戻して(復水)再使用されますが、腐食・スケール発生防止など長期間にわたる設備の健全性維持のためここでも弊社の復水浄化装置が活躍しています。補足になりますが超純水は小柴昌俊教授のノ-ベル賞(ニュートリノ研究)で有名になった研究観測施設カミオカンデで観測用の純水にも用いられています。また、医薬品製造における水は薬事法等で定められており、いくつかの区分がありますが、薬は投薬や注射で私達の体の中に入るものですから医薬用水は不純物を除去した水でなければなりません。(常水、精製水、滅菌精製水、注射用水があり水質や製法も規定されている)水の用途によって使われる水は様々です。(写真参照)以上のように、こちらの表は、産業や生活に求められる水のグレードを表しており、「目的にあった水」に水質を調整(処理)して利用していることを示しています。これはまさに適水適所といえるでしょう。水処理技術が高まれば水の機能のランクアップや、今まで難しかった産業分野での利用などコストダウンによる適用範囲の拡大につながります。また、排水処理分野でも、より広く水環境保全の設備が導入されることになると思います。
- 排水処理について
水の機能のところでも話しましたが、排水は家庭からまた工場から排出されます。その場合、無害化して川や海へ放流する方法と無害化して再度使用する方法とその組み合せがあるわけですが、例として半導体工場の洗浄水をあげると、洗浄に使用された排水で低濃度(不純物の割合が低い)のものは水処理(イオン交換樹脂やRO膜で処理)して純水にもどして再利用し、高濃度(不純物の割合が高い)ものは排水基準をクリアして放流します。工場内の水のリサイクル率は年々高まっており、近年は水だけでなく排水中の不純物を有価物として回収する例も増えてきました。
従来より、排水を遠心分離機等で脱水して、水と脱水した固体(脱水ケーキ)に分離し、脱水ケーキは焼却してその焼却灰は舗装材や建設資材などに使用される例が多くありました。弊社では新しく付加価値の高いリサイクル技術として排水中に含まれるフッ素をカルシウムと反応させて天然蛍石と同等のフッ化カルシウム(人工蛍石)として回収し、フッ酸製造メーカーに薬品原料として戻す資源リサイクルを実現しています。(写真参照)
今後も水処理に関わる資源有効利用や省エネのニーズは増え続けていくので、それらに応える技術開発を継続していきます。
- ヒアリングを終えて
今回、ヒアリングを通じて感じたことは、普段なにげなく使用する水も、水処理技術で大きな機能を持たすことができることと、その機能は水処理技術の進歩に比例していることである。生命と自然は水無しでは存在できない。水の品質保全=環境保全であり、水処理技術=環境技術であることを痛感した。
写真上段左:経営企画部 七海匠氏、オルガノ株式会社 事業概要より、(下段左まで)
写真下段右:オルガノ株式会社「半導体工場・液晶用工場用 水処理システム」エコクリスタより
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