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2010年6月の記事

2010/06/16

海洋エネルギーの実証実験を推進 東京都

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20105_2東京都の呼びかけにより集まった産官学のボランティアは、昨年7月波力発電検討会(委員長 荒川忠一 東京大学教授)を立ち上げ、有望な再生エネルギーである波力に関して利用可能性が高いことを検証した(検討会は今年3月に終了)。検討会の報告書は波力発電の新エネルギーとしての政策的位置づけや実証実験の後モデル発電事業のロ-ドマップ案など簡潔にまとめられており、波力発電の推進を国のエネルギー政策として法的に位置づけることを提言している。今回は波力発電検討会を設置し、推進した東京都環境局都市地球環境部課長補佐谷口信雄氏にお話を伺った。

- 波力発電検討会の設立の経緯
波力発電検討会の必要性を感じたのは、東京都や国がCO2を25%削減すると目標設定し、その実現のためには、大幅な再生可能エネルギーの導入が必要であり、そのために海洋エネルギーの利活用が必要でその検討が重要であると考えたからです。同様に思っていた方々は多く、波力発電検討会の設立を呼びかけたところ多様な産官学のメンバーが手弁当で自発的に集まり、波力発電の普及促進に向けた大変有意義な検討会を行うことができました。今年の3月に検討会は終了しましたが、この検討会の流れは国の実証実験、モデル発電事業の実施へと展開しつつあるといっていいでしょう。

- 波力発電の有望性
我国は四方海に囲まれて、海洋エネルギー(波力)を活用することは当然のように思えますが、実は我国の周辺の波の持つエネルギーについて沖合いの波のエネルギーを含んだデ-タが無いのが現状です。(沿岸波パワー36GWとするデータはあるが、沖合の波力発電を対象とするとあまりにも控えめなデ-タになる)
検討会の報告書にもありますが日本を取り巻く波の賦存量(波のエネルギー)は海洋の排他的経済水域を含めて考えると300GW以上(300×10⁹W)もあるわけで、日本の電力消費量は現在約1兆億kWh/年ですから、1/3以上は賄うことができ、その何%かを利活用するだけでも国内のエネルギー事情が大きく変わることがわかると思います。豊富なエネルギー(波パワー)がまわりに存在するわけですからそのエネルギーのマップ(沖合の波パワー)を国が作り、地域への波力発電の普及促進を進めてもいいのではと考えています。

- 波力発電の実用化に向けて
1)波力発電の技術
波力発電の実用化に向けた取り組みは欧米は日本より進んでいます。技術的な面だけでなく支援策についてもさまざまな助成・優遇措置を設けています。発電装置として、とくに水深が深く波が大きい沖合いに多数の小規模装置を並べて発電する米国のOPT社のパワーブイは実証段階が終わり、実用化の段階にあります。又、ヨ-ロッパでは海洋エネルギーの実証試験場が整備されており(英国欧州海洋エネルギーセンター(EMEC))では波力発電装置などの信頼性の評価、標準化を目的として世界に利用を公開し、英国コーンウォールや豪州ヴィクトリアンコーストでは大規模な波力発電基地の開発が始まっています。欧米では海洋エネルギーに関しては着実に成果を上げているといっていいでしょう。現段階では我国は進んでいる波力発電の技術をうまく取り入れてそれを応用していくのが効率的で、その過程でさらなる技術革新やビジネスモデルが創出される可能性があるわけです。
2)洋上風力発電との組合せ
波力発電と洋上風力発電は相互補完の関係にあるといっていいでしょう。また波力発電の上部に風力発電を設置した装置も既に稼動(波力発電の上部に風力発電を設置)しており、洋上風力発電と波力発電の適地(海域)は重なり、海底ケーブルなどのインフラの共有も可能です。
3)魚業との協調と新産業の創出
検討会の報告書にあるように波力発電の推進は新しい産業を創造することができ、装置や部品、情報産業などの参入を促進します。パワーブイ(油圧型の波力発電装置:米国のOPT社の開発)に見られるように波力発電装置(パワーブイ)が浮き漁礁の役割を担い、新しい漁場を創出するものと期待されています。波力発電事業の推進は漁業と競合せずに新しい漁業として位置づけることができるわけです。

- 今後の展開
検討会では英国にあるEMECのような海洋エネルギー実証実験場を伊豆大島に実現することを念頭において波力発電を中心とする海洋エネルギー(洋上風力を除く)の普及拡大のロ-ドマップ案を作成しています。今後、国や自治体のさらなる動きに期待しています。

- ヒアリングを終えて
東京都に有志を集めて波力発電の検討会を組織した谷口氏の話を聞きながら我国の持つ海洋エネルギーの潜在能力と長期のエネルギー政策のあり方、新技術の開発とその応用技術の推進等、示唆に富む話だった。今後の波力発電のプロジェクトの展開にエールを送りたい。

写真上段左より:東京都環境局都市地球環境部課長補佐 谷口信雄氏、OPT社のパワーブイ、海洋エネルギーに対する支援策、下段左より:波力発電の普及拡大ロードマップ案、英国のウエーブ・ハブ計画 出典:波力発電検討会報告書より
( http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/renewables/pdf/haryoku%20houkokusyo.pdf )

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2010/06/01

「酸性雨調査研究会の活動のご紹介」    古明地理事より

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今回は古明地理事より酸性雨調査研究会の紹介があり、酸性雨調査研究会 権上かおる様より寄稿いただきました。


1.酸性雨調査研究会の活動
地球サミット前年の1991年に活動を開始した当会は、「雨を通じて、地球環境を考える。自分たちの体を動かして調査し、得られた結果をもとに環境負荷の少ない方法を選択する」をモットーにしている。雨は、多くの環境問題とつながっているため、気象、植物、モニタリングの専門家から教員、主婦までの幅の広い会員構成である。
これまで、 ‘雨が降ったら自分で感知し、ふたを開ける装置のアイデアコンテスト’‘-表参道Xmasイルミネーション環境調査’‘北区堀船の静かな住宅地の新聞印刷工場計画に河川舟運活用代替案-船と自動車の比較-隅田川舟運実験’ ‘全国酸性雨調査(毎年6月)’などテーマ別調査活動や、‘夏休みこども環境調査’はじめ各種環境学習支援、海外環境団体交流など、単に雨調査に留まらない様々な取り組みを行ってきた。

2.微小粒子状物質の認知度向上へ
「降ってくるのは雨ばかりではない」と降下ばいじんや浮遊粒子状物質への取り組みも行った。というのは、80年代までは、「大気汚染といえば二酸化窒素」が市民感覚で、90年代に入ってようやく浮遊粒子状物質(以下「SPM」と略す)が注目された。しかし、これまでなじみのないSPMや単位の理解には、自分たちで調査できることが不可欠であった。そこで、1995年に、‘ペットボトルとあなたの目で調べる空気の汚れ’SPM調査キットを開発、大きな反響を呼んだ。ペットボトルで空気量を測り、空気の汚れを段階的に数値化した色見本で評価するため、小学生でも調査できる。1997年、‘みんなの町の空気の汚れを調べ交流のつどい’は、小学校2年生から大人までの調査結果の発表が続いた。さらに、ハイボリュームエアサンプラーのろ紙に肺の形にマスクをして採取、‘ディーゼル黒煙が肺へ入る’ アピールを強めた。2003年のディーゼル規制開始時に、これを支持する世論の核を作ったものと自負している。ことに年末年始に行うと、12月下旬の逆転層が形成された日に濃度が最高値を示し、元旦には、ほぼ白色にしか見えず、社会状況による発生源や気象との関係を如実に表すことができた(図1)。現在でも調査を続けており、ディーゼル規制前と比べると格段に黒色度が低くなっていることがわかる。しかし、NO2や黒煙粒子の低減にとどまることなく、PM2.5などの微小粒子やナノ粒子の新たな問題についても、早くから警告を発し情報を発信し続けている。

3.調査は環境へのセンスを磨くツール
 どんなに環境の知識があっても、知識だけでは自分の問題とならず環境負荷低減への自らの行動にはつながりにくいものである。体を動かし、知恵をめぐらして調べて得た客観的な結果は、自分自身への行動指針となる。‘調査’は、環境へのセンスを磨くツールと確信する所以である。しかし、高度に発達した情報化社会は、「手足を動かし、自分で考える」行動には、逆流といえる。夏休みこども環境調査も募集をアップした途端に迷惑メールの攻撃を受け、受信不能となり、興味を示すこどもたちも極めて少ないため、現在では実施できないでいる。しかし、出前授業の依頼を受け、直接説明をすると、こどもたちは目を輝かせて大気汚染の二酸化窒素カプセル調査などに取り組む。さらに工夫が求められてはいるが、人間にとって「学ぶ喜び」は変わらないということであろう。
これからを考えると粒子状物質のPM2.5やナノ粒子問題のように、「簡単には見えない・感じない/市民に調べることができない/市民の関心を得られない」と ‘3ない’克服は簡単ではないが、市民活動の底力(めげない、あきらめない、あせらない)で、これからも取り組んでいきたいと考えている。
酸性雨調査研究会HP: http://homepage3.nifty.com/jarn/
(酸性雨調査研究会 権上かおる)

古明地理事から
権上さんはアグネ技術センター勤務、金属、環境、一般出版まで広く手がけられ、その時代の課題に科学的な事実から鋭く切り込み、適切な問題提起、また解決に向けての具体的な取り組みを精力的に実践されてきた方であり、その行動力には深く敬意を表したいと思います。今回当NPO機関紙のために原稿をお願いしましたところ快く引き受けてくださり、まことに感謝に耐えません。権上さんの活躍の一端を紹介させていただき、これからの環境NPOの取り組みにまた新たな活力を育んでいただけたらと願っています。

写真左より
上段:「図1肺ボリュームサンプラー 右側の肺は元旦でほとんど悪化していない」、「SPM測定キットの説明」、「中央区の子どもとためす環境まつりイベント(2009年10月)」、下段:「小学校の出前授業で(江東区 2008年2月)」筆者権正かおる様、「甲州街道で肺ボリュームエアサンプラーで採取する主婦グループ」

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