« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »

2010年5月の記事

2010/05/16

JETPA 今月のキーワード 「波力発電」

2010515_32010515_2我国は島国で四方を海に囲まれている。波の持つエネルギーを利用できればクリーンでほぼ無尽蔵のエネルギーを得られるのではないか?と考える人は筆者だけではないだろう。化石燃料からの脱皮とエネルギー需要を考えた場合、波力発電は環境エネルギー技術として注目されるべき技術といっていいだろう。我国の波力発電の本格的な研究開発は海洋科学技術センター「海明」による実証実験からといわれている(第1次石油ショック(1973年)後:山形県鶴岡市由良沖合い)。「海明」の構造は波を空気エネルギーに変換する方式で、海に空気室のある構造物を浮かべ波の上下で空気タービンが回り発電する仕組みである。この実証実験には米・英・カナダ・アイルランドの研究者も参加した。「海明」の実証実験後、現在にいたるまでさまざまな波力発電の実証実験が行われている。空気エネルギーに変換する以外の方式として機械エネルギーに変換する方式(波を受ける板の運動を油圧に変換して発電する:北海道留萌増毛町の堤防)、と水流エネルギーに変換する方式(波を遊水池に誘導し水を貯留して水位の落差を利用して水車タ-ビンを回して発電:ノルウェータプチャン)とがある。経済性(発電コスト、施設建設費等)、エネルギーの平準化(波の高さの変動への対応)、安全対策等 いくつかの課題があげられているが、我国にとって波力発電技術の推進は、再生可能なクリーンエネルギーを豊富に持てる可能性を示し、将来に向けた大きな夢のあるエネルギービジョンのひとつになるのではないだろうか?
写真:イメ-ジイラスト


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/05/01

「山小屋で見るミニ水力発電」 青木理事より

123456789101112131514161718太陽光発電や風力発電など自然エネルギーを使っての取り組みは徐々に広がってきています。今回、渓流に流れる沢の水の力を使ってのミニ水力発電を実践して20年になる奥多摩の三条の湯の山小屋を焦点にあてて取材しましたので、その内容を紹介しましょう。
 三条の湯は、東京都の最高峰である「雲取山」(標高 2,017m)を登山する場合の「お祭」からの登山口から後山川の渓流を見ながら後山林道を歩くこと3時間半で到着します。林道の終点の青岩谷橋を渡り、三条谷の広葉樹林を見ながら進むと先ずに目に飛び込んでくるのが小さな小屋です。実は、これがミニ水力発電を実施している小屋で、上を見上げるとそこに三条の湯の山小屋があります。ここは秩父多摩甲斐国立公園となり、登山者にとって嬉しいことに山に登って温泉を楽しめる山小屋でもあります。昔、傷をおった鹿が、傷を治していることから効能が確認された経緯があります。この山小屋で実践されている発電システムの概要は、集めた水をドラム缶に貯め落差、約20メートルで距離約200メートルの間を3インチのポリエチレンパイプを敷設し、水のエネルギーで水車を回し直流24ボルトの電気を発電しています。その24ボルトの電気をインバーターで交流100ボルトに変換し小屋の電力源として使い、余剰電力はバッテリーに貯え電気使用量の多い時に備えています。三条の湯の山小屋は1990年より神奈川工科大学の鳥居・森両教授の指導のもと、沢の水を利用したミニ水力発電に取り組んでおり、初期の発電機では200ワットの発電量であったといいます。

神奈川工科大学の森研究室の最近の研究内容は、
1.山岳地域におけるミニ水力発電システムの実用化研究
2.太陽光発電システムにおけるMPPT制御に関する検討
3.太陽光発電におけるバッテリー過充電時の余剰電力有効利用制御に関する基礎的検討
などを対象としています。

三条の湯の山小屋も、この研究に協力しており、毎月、収集されたミニ水力発電に関するデータは電子メールで研究室に送られ、研究室で解析されているといいます。現在は、発電効率の良い機械に順次換え、2006年には約400ワット発電できる三代目の発電機を導入し、2基あるため、800ワットの発電量となっています。2基の発電機の内、1基はトイレ用で、もう1基は山小屋の電灯、温泉の加熱用、冷蔵庫、調理器具などに使用されています。 10数年安定した電気を発電できるようになったため、電気を使ったバイオトイレも導入されています。トイレは、東京都の間伐材の檜を採用しており、檜の香ばしい匂いがするトイレでした。自然エネルギーの中で、ミニ水力発電機による電気エネルギーを得るのに、太陽光発電や風力発電と比較して、渓流さえあれば、夜でも発電が可能であると言った点です。ただ、問題は、奥多摩の奥深い標高1,100mに位置する三条沢の水が凍結のため水力発電のできない点です。厳冬期はディーゼル発電で電力を賄っているといいます。山小屋の主人は、「日本で一番、環境調和した山小屋を目指している」と熱ぽっく暖炉のそばで語ってくれました。厳冬期を除けばディーゼル発電でないために騒音のない静かな山小屋であり、沢の水の流れる音を掻き消すのは、登山で疲れた登山者のいびきの音かもしれない。取材日: 2010年4月3日(土)アクセス: JR青梅線奥多摩駅よりバスにて「お祭」バス停より徒歩3時間半三条の湯:http://www.taba-kan.co.jp/sanjou/index/

写真上段:左より:ミニ水力発電小屋と青木理事、三条の湯の山小屋、(三条の湯のホームページより)
中段1:取水口、パイプで水を導入1、2、中段2:水力発電機までの配管1、2、3ハリス社(アメリカ)製水力発電機
中段3:ハリス社(アメリカ)製水力発電機、バッテリーと配電盤、データ収集、中段4:バイオトイレ (檜造りのトイレ)、三条小屋の山小屋主人、バイオトイレのしくみ、下段:三条の湯の立看板1,2、アクセス: JR青梅線奥多摩駅よりバスにて「お祭」バス停より徒歩3時間半


| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »