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2009年10月の記事

2009/10/16

「温室効果ガス(CO2等)25%削減政策について思う」

2Photo民主党は、2009年8月の衆議院議員総選挙のマニフェストで、『CO2等排出量について、2020年までに25%減(1990年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする。』という地球温暖化対策を打ち出し、政権獲得後の国連総会で、鳩山首相は、2020年までに25%減(1990年比)とすることを公約した。自民党の麻生政権が打ち出した8%削減(1990年比)とは、大きな隔たりがあることから、当然、各界からいろいろな反響が出ている。
日本の産業界に大きな打撃を与えるのではないかと懸念する声が大きい。世界的に見て、アメリカ、中国、インドという巨大排出国が、積極的な姿勢を見せていない今、日本だけが、公約を守れという追及を受けるのではないか。アメリカが、オバマ大統領になって方向転換しそうだとは言え、京都議定書の締約国にならないのは、まさしくアメリカ経済を壊滅させたくないという思惑からだろう。などという懸念は、経済人として当然だと思う。また、1990年比という時間設定が、環境対策の先頭を走り続けてきた日本にとって、不利ではないか。すなわち、同じ削減率でも、1990年当時すでに対応を進めていた日本のような環境対策先進国と、これから始めようという環境対策途上国との間で、対策の困難さに差があるという議論である。トップランナーが損をするシステムは、決して推奨されるものではない。もっと基本的なところでは、地球の気温上昇は温室効果ガスのせいだろうかとか、地球は、温暖化に向かっているのではなく、寒冷化に向かっている。現在の気温上昇は一時的なものだという議論などがある。その他、賛否両論が渦巻き、それぞれに言い分がある状況を見て、私は、1960年から、1970年頃に至るころの公害論争を思い出した。戦後経済復興を優先してきた政府は、水俣病、イタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜん息に代表される公害病が全国各地に発生するのを見て、経済優先から公害対策へと大きくカーブを切った頃である。1970年(昭和45年)12月の公害国会で、14本もの法律が、制定・改正され、公害に係る法体系が整い、対策優先の政治が始まった。私たち公害行政に携わっているものにとって、大いに歓迎すべき方向転換であったが、経済が失速しないかという一抹の心配もあった。しかし、日本の公害対策技術は、見事に経済を失速させること無く、世界のトップランナーになることができた。私には、政権交代が行われた今、ちょうどその頃の状況にオーバラップして見える。25%削減という目標を掲げたからには、政界、財界、国民一体となって目標達成に向かって努力するということが必要ではないか。目標が達成されるためには、多くの犠牲も必要だろう。また達成できないかもしれない。1960年代のように、目に見える被害が顕著ではないことから、国民の意識としてピンと来ないのかもしれない。今は、目標に向かって努力することが大事で、達成できるかできないは問題ではない。
努力すれば、かつてのように、環境対策で、世界のトップランナーに成る可能性もある。夢を持って生きたいものだと思う。
JETPA 会長 柴野嘉寛  写真:イメ-ジイラスト


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2009/10/01

「スマートグリット構想」 その1 

Img_046512356                                                                                                                                      エネルギーの分野で「スマートグリッド」という言葉が最近話題になっている。スマートグリッドを直訳するとsmart:賢い,grid:送配電網 ということになるが、これでは抽象的すぎてわけがわからない。今回は「スマートグリッド」について、東京電力株式会社を訪問し、その定義や内容、今後の展開についてお聞きした。対応していただいたのは 技術部 系統技術グループ マネージャー 岡本浩氏である。
今回は内容構成上2回の掲載にし第1部を「スマ-トグリッド構想その1」 第2部を「スマ-トグリッド構想その2」に分けて掲載していく。

 スマートグリッドのイメージと定義について
はじめにスマ-トグリッドのイメ-ジなのですが、電力を供給するシステムは大きく分けて①電力を作る(電源)、②流す(流通設備)、③使用(需要)するという3つのセグメントで構成されています。この3つのセグメントに各々相互通信技術、制御技術、計測(センサー)技術を組み込んでネットワーク化していくイメ--ジを展開してもらえれば大まかですが把握できるのではと思います(資料1、2)。例をあげれば一般家庭の電気の検診は現在、検針員が電気メーター目視して計測しています。これが訪問しなくても離れたところから計測できるようになることをイメージすればわかりやすいでしょう。一方、現在でも高圧以上の産業用・業務用のお客さまには、光ファイバー通信などを使って自動検針を行っています。これをさらに応用して、相互通信技術を用いれば今度はお客さまの電力消費や需要の制御ということが可能になってきます。実際に当社は、大口の工場やビルのお客さまを対象に、エネルギー管理サービスなども提供したりしています。米国では、一般のご家庭にもこのような仕組みを入れて、家で使用している電気量が現在使い過ぎですといったお知らせや少し制御しますといったコントロ-ルができるようになる、ということまで考えているようです。スマートグリッドの定義なのですが国際的な標準化会議の場(IEC TC8)で現在、検討中です。まだ議論が始まったばかりで、電源・流通設備・需要に各々相互通信技術、制御技術、計測(センサー)技術を組み込む電力供給ネットワ-ク(需要および電源を含む)を構築し電力品質を向上させることを目的とするとあり、大変幅広いものになっています(資料3)

 スマートグリッド構想の背景
スマートグリッド構想の中でネットワークという言葉がよく出てきます。このネットワークという言葉からインターネットなどの情報網をイメ-ジするかもしれません。ここで注意していただきたいのはエネルギー(電力)の送電網(ネットワーク)と情報の送電網(ネットワーク)は同じではないということです。情報では網の目(メッシュ)のようにたくさんの経路があれば寸断されずにたくさんの情報が効率的にスピーディに流れて長所になりますが、エネルギー(電力)では網の目になっていることは長所ではありません。網の目(メッシュ)になるとエネルギー(電力)の監視・制御が非常に難しくなり、広域的な電力取引のために送電網に混雑が起きる等の問題が起こります。わかりやすくいうとエネルギー(電力)の経路をネッワーク化するとその経路にいろいろな電力(火力、水力、風力、太陽光・・・)が流れ込み電気の流れの調整が難しくなるわけです(経由していく方法は何通りもあり、分散型電力も流れ込む)。国と国とがエネルギーの送電網(ネットワーク)で結ばれると他国の電気が自国の送電線を通過するためにさらに監視・調整が混乱し、送電網の磨耗やハード面のメンテの問題が起こってきます。もともと米国でスマ-トグリッドの構想が出てきたのはこの送電の網の目(メッシュ)の問題が背景(電気の流れの監視・調整の混乱、停電)にあるわけです(資料4)。翻って我国の電気の流れはシンプルな構造になっており(資料.5)、例えば、北海道から東京に電気を流す場合、全量が東北に流れることはあらかじめわかっています。このため、欧米のような監視・制御のむずかしさの問題はあまり無いといっていいでしょう。

補足:発電所は一定の回転数でタ-ビンを回し、一定のパワーの電力を家庭や工場に届けているわけです。水に例えれば一定の水位を維持しながら発電しているわけで、大目に発電して(回転数をたくさん上げて)つまり水位を上げて余った分をどこかが電力不足だからそこに特別に電気を届けるような仕組みにはなってないわけです。又、発電所が一度スタートすると消したり、つけたりは簡単にはできません。電力はシステムとして安定した均一なものを継続して供給していることと、不安定で不均一なものを供給するには監視・制御とそれに伴う技術が必要になってくることを理解していただければと思います。

 スマ-トグリッド構想を支える技術 一例
我国の電力の送電網は欧米と比較して電気の流れがシンプルで監視・制御しやすく欧米に比較すると安定した電力供給ができていることはさきほどお話しました。また環境や省エネの推進という面からスマ-トグリッド技術(電力供給システムのネットワ-ク化技術)を考えた場合、さまざまな環境技術の開発はいうまでもありませんが、不安定な自然エネルギーをどう取り込んでいくかがポイントになると思います。有望な技術として電気自動車にも使用されている蓄電技術が上げられます。太陽光発電などの自然エネルギーを使う家庭が夜間の電気の使用量が少ない時間帯に電気自動車に蓄電しておき、不安定な太陽光発電をサポートして(蓄電した電気を用いて制御しながら家庭の電気を安定化する)安定な電力にすることができます。今の話は家庭での話ですが大容量蓄電技術を用いればひとつのエリア(地域)に応用することができるようになるでしょう。もちろん、コストや設置の課題はありますが、蓄電技術の向上は従来の安定したエネルギーに自然エネルギーをうまく取り込んでいく要の技術のひとつになると考えられます。

ヒアリングを終えて
国のエネルギーの根幹である電力について私達はあまりにも当たり前のように使用し、エネルギーに関して考えなさすぎるのではないだろうか?生活を支え続ける電力供給システムは今後どのように不安定な自然エネルギーを取り組んでいくのか興味津々である。
写真 上段左より技術部 系統技術グループ マネージャー 岡本浩氏、資料1、資料2、下段左より資料3、資料4、資料5 資料出典:東京電力 株式会社

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