学生にとって必要な知識 -環境マネジメントシステム(PDCA)-「柴野会長:富山大学の講義」
私は、一昨年の夏、財団法人とやま環境財団が実施している「環境の出前講座」の講師として、国立大学法人富山大学で、講義を行いました。
このことが縁で、昨年から非常勤講師として、人間発達科学部、理学部、工学部の2年生を対象とした総合科目「環境」で、講義をさせてもらっています。昨年は、環境の講義ということで、7月の夏真っ盛りというのに、クーラーなしで実施したところ、暑くて講義を聞くどころではなかったと、非難ごうごうでした。今年は、これに懲りて、クーラーを入れた快適な教室で講義をすることにしたので、学生は、比較的冷静に話が聞けたようでした。40数年前の学生である私が、学生の聴講態度で、もっとも異質に感じたのは、飲み物を摂りながら講義を聞くという姿勢でした。このこと以外は、私の学生時代とあまり変わらず、社会の情勢に疎いということまで、共通しているように感じました。
昨年は、「環境マネジメントシステムと企業経営」をテーマにしたのですが、今年は、「なぜ環境マネジメントシステムが重要視されるのか」にしました。私は、講義の後で、アンケートを書いてもらっているのですが、今年は特徴のある回答が目立ちました。「環境マネジメントシステム」、「マネジメントシステム」について、もっと勉強したいというのです。昨年には無かったことです。このことについて、私なりに分析してみました。理由の一つとして考えられるのは、昨年と、今年の講義のテーマの違いです。私が講義の対象としているのが理科系の学生であり、
彼らにとって、「企業経営」は関係ないことで、環境という言葉につられて受講した可能性があります。一方、「なぜ環境マネジメントシステムが重要視されるのか」というテーマの中に、―社会が求めていること―を感じた学生が多かったのではないか。話の内容が、大筋で昨年と今年で、それほど違いが無いにもかかわらず、学生の反応がこれほど違うとは、驚きでした。
学生時代の教育実習で、1回きりの授業ということもあり面白おかしくすると、生徒が楽しんでいたのを思い出し、今回の講義もそのようなものかなと思う一方、社会の実情を知らない学生に対し、社会に出てから経験しなさいというのでは、現代社会ではやっていけない。ニートやフリーターに流れる若者が多い原因にもなっているのではないか。学生の間に、社会人経験者が、社会とはどういうものかを教える必要があるのではないかと考えました。私は、「もっと勉強したい」と言う学生の要望をどのように受け止めてよいのか、総合科目「環境」担当の先生に相談したところ、「ぜひ機会を設けましょう」との返事をいただき、12月に実施する方向で、計画を進めています。学生にとって、就職が人生の重要なポイントであり、そのために知識を習得したいという要望に応えられた、総合科目「環境」担当の先生方に敬意を表したいと思います。
今年の講義のあらすじ
『なぜ環境マネジメントシステムが重要視されるのか』
■「環境マネジメントシステム」と言う言葉は、よく知られているが、では、どういうことかと改まって、聞かれると、なかなかうまく応えられないものであること。
■マネジメント、マネジメントシステムについて概略、及び環境マネジメントシステムについて、代表的なISO14001とエコアクション21の特徴。
■従来は、日本型のマネジメントシステムに組み込まれていたものが、平成10年代前半に、経営のツールの一部として注目を浴び始め、平成10年代後半になると、P(計画)D(実施・運用)C(点検・是正)A(見直し)のサイクルを実感する最適のマネジメントシステムといわれるようになった「環境マネジメントシステムの位置付けの変遷」。
■環境マネジメントシステムへの取組が重要視される理由として、① PDCAのサイクルを基本としたシステムであること。② 資源・廃棄物等の削減によって経済効果が目に見えること。③ 環境への配慮・行政等の支援があり、今の社会情勢にマッチしたシステムであること。
■行政が、機関委任事務中心の通達行政から、分権体制化の自治事務執行へと移行する中で、説明責任が求められるようになり、これに対応するツールとして、PDCAシステムが認識されていること。
■企業における環境経営が変化し続け、環境によって企業が淘汰される時代になったこと。
■CSR(「企業の社会的責任」)への取組み次第で、その企業の将来が決まると言われ始めているが、環境マネジメントシステムの手法が、そのままCSRに使えるということ。
■経営のことは、技術職の学生が学ぶ必要が無いと思われがちだが、PDCAの考え方は、何事にも活用できるものであり、社会人にとって必須の知識である。
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