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2009年5月の記事

2009/05/16

省エネから創エネへ「発電する住宅」 旭化成ホ-ムズ株式会社

Img_0387PhotoPhoto_234578今回は住宅に燃料電池、地中熱利用ヒ-トポンプ、太陽光発電を取り入れ、電力、給湯、冷暖房のエネルギーを賄い、自ら発電するユニークな住宅「発電ヘーベルハウス」の普及を推進する旭化成ホ-ムズ株式会社に伺い、その内容をお聞きした。対応していただいたのは技術・購買本部 第一技術部課長 江原克実氏と広報室主任 三和彰氏である。

-住宅と環境への取り組み
住宅は人間生活のコアであり、住宅を考えるうえで環境、エネルギー問題抜きには考えられません。弊社は、「住宅を長持ちさせることが最大の環境貢献」であるとの考えから、ロングライフ住宅の実現に向けて建築材料や地域と自然との調和を考えた設計等様々な検討をしてまいりました。現在の弊社の住宅は普通に使用すれば60年以上は十分に持ちます。しかし、いくら長持ちして環境に配慮した住宅でも、住宅内で使用する生活エネルギー(電力・ガス等)の削減を考えないていかないと総合的にみて環境バランスがとれてないことになるわけです。
地球温暖化対策としてCO2排出量削減を図っていくことは国内だけの問題ではなく国際的な問題でもあり、2008年の北海道の洞爺湖サミットでは先進国は60%~80%削減を求められており、今後、国の政策も1.自然エネルギー比率を高めることと、2.省エネから創エネへ向かうことは間違いなく、弊社の発電住宅の普及はまさにその方針の延長線上にあるといっていいもよいでしょう。

*2005年 モントリオ-ル COP11(気候変動枠組条約第11回締約国会議)で日本を代表する民生環境技術として弊社の地中熱利用システムと東京ガス様の燃料電池とトヨタ様のハイブリットカーが紹介されています。現在弊社が展開している「発電ヘーベルハウス」は紹介された2つの民生環境技術(燃料電池と地中熱利用システムの環境設備機器)をふるに活かした内容になっています。(写真4参照)

-発電住宅の内容 (環境設備機器の内容)
前述したとおり弊社の展開する発電住宅(環境設備機器)は1.「ダブル発電パック」太陽光発電+家庭用燃料電池の組合せ、2.「ジオサ-マル発電パック」太陽光発電+地中熱利用ヒートポンプ給湯・冷暖房システムの組合せの2種類があります。どちらも住宅の屋根に太陽光発電の装置をつけて家庭電力を賄うことは同じですが1の「ダブル発電パック」は太陽光発電に加え燃料電池(エネファ-ム)を用いて発電をします。燃料電池(エネファ-ム)は都市ガスから水素を取り出し水素と酸素の化学反応で電気と熱を造り、その電気と熱は家庭の電気や台所やお風呂等の給湯に使われます。(写真5.6参照) ようするに住宅に発電機を設置していると考えればわかりやすいでしょう。設置面積についてですが一般家庭の外付けのガス給湯器を少し大きくしたくらいと考えれば良いと思います。(写真2参照)
 このダブル発電パック住宅では従来の電気代は全部賄うことができ、しかもCO2の発生量は60%削減できます。2.の「ジオサ-マル発電パック」は太陽光発電に弊社オリジナルの地中熱利用ヒートポンプ給湯・冷暖房システムとの組合せになります。エアコンなどで用いられているヒートポンプの技術は外気と住宅内の温度差を利用して省エネをしていますが、大気中に熱を放出するためヒートアイランド現象を抑えることができません。このシステムでは地中熱を熱源とすることで消費電力を削減してCO2の排出を抑制し、冷房排熱を外気に排出しないことからヒ-トアイランド現象の抑止にもなります。(写真7.8参照)
ジオサーマル発電パックの住宅では電気代は40%削減できCO2削減量は約50%削減できます。
*ジオサ-マル発電パックでは地中10Mに熱交換杭を複数打込みますがこの技術は住宅の基礎を作る弊社オリジナルの技術です。(写真3参照)

-設置費用について
「ダブル発電パック」は475万、「ジオサ-マル発電パック」は505万の販売価格ですが、太陽光発電と燃料電池には国や自治体からそれぞれ補助金がでています。燃料電池エネファ-ムには民生用燃料電池補助金 上限140万、太陽光発電には住宅太陽光発電補助金 7万/kW棟、自治体(東京都)では10万/kW。また、弊社では上記の環境設備機器の普及促進のため新規のヘーベルハウスには特別価格を設定してキャンペ-ンを1月8日より展開しています。  

-ヒアリングを終えて

人間生活の拠点である住宅においてエネルギーの使い方が変化すれば、大変革になることは間違いない。発電住宅は自分の使用するエネルギーは自分で創り出すという「まさに省エネから創エネ」を地でいく社会インフラの変革プロジェクトともいえる。長期の環境社会インフラを展望する本プロジェクトにエ-ルを送りたい。

写真・図 上段左より
写真1:技術・購買本部 第一技術部 課長 江原克実氏、広報室 主任 三和彰氏。
写真2:ダブル発電パックの住宅(写真右端にエネファ-ム設置されている)
写真3:ジオサ-マル発電パックの住宅(地中に熱交換杭埋設)
中段左より
写真4:COP11で環境大臣より紹介された地中熱利用システム
写真5:燃料電池は何故期待されているか
写真6:燃料電池のしくみ
下段左より
写真7:地中熱利用は何が良いのか1
写真8:地中熱利用は何が良いのか2
出典:写真2,3 旭化成ホ-ムズ㈱提供,写真4~8旭化成ホ-ムズ㈱ 資料「発電ヘ-ベルハウス」より

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2009/05/01

国産エネルギー「地熱発電」の推進       三菱マテリアル株式会社 訪問

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今回は国産エネルギーとして注目されている「地熱発電」について三菱マテリアル株式会社を訪問し「地熱発電」の現状と将来について伺った。三菱マテリアル社は早くから地熱エネルギーに注目し昭和40年代に地熱発電の開発に着手し、昭和49年に大沼地熱発電所(秋田県)を完成し、平成7年に澄川発電所(秋田県)において東北電力に蒸気供給をしている。対応していただいたのは地熱・電力事業センター 部長 永井保弘氏、同センター副部長 北尾浩治氏、広報・IR室課長 田沼良平氏である。

*(写真NOは左より順に上段写真1、2、3、中段1左より写真4、5、6、中段2左より写真7、8、9、下10、下段左より写真11、12になります)

- 地熱発電への取組み
日本の地熱発電所の実用運転の歴史は松川地熱発電所(1966年 岩手県:日本重化学工業㈱)が最初で次に大岳発電所(1967年 大分県:九州電力㈱)、三番目に弊社の大沼発電所(1974年 秋田県 :三菱マテリアル㈱)となります。弊社はご存知のようにもともと鉱山の会社です。鉱山(製錬所)では多くの電力を使用するため、大沼発電所では当初より自家発電の電力を使用していました。大沼地熱発電所がある秋田県鹿角市では明治30年代に水力発電を建設し鉱山の電力をまかない、昭和49年には地熱発電所を建設して鉱山及び製錬所向け電力を供給して来ました。又、鉱山の開発技術は地下が相手ですから(地下を掘る開発技術)非常に地熱発電を開発する技術と共通しているところが多いわけです。弊社のもともとの地下資源開発技術の延長線上に地熱発電はあるといっていいでしょう。現在、弊社の地熱発電は秋田県鹿角市の大沼地熱発電所(自社で発電)と澄川地熱発電所(東北電力へ蒸気供給)でおこなわれています。(写真2、3、4、5参照)

- 地熱発電の地域性
地熱発電を行っている地域は地図(写真6参照)を見ていただければわかるように東北地域と九州地域がほとんどです。これは火山帯と一致しています。関西地域や関東地域は少なく、地域的な隔たりはありますがこの地図から見ても日本がいかに地熱発電のエネルギーを所有しているかがわかると思います。現在の地熱発電所は国内に眠る地熱エネルギーの2%しか開発されていません。一方海外との比較をすると潜在的な我国の地熱ポテンシャルはアメリカやインドネシアに次ぐ地熱大国で(写真7参照)、地熱発電の設備ではアメリカ、フィリピン、メキシコ、インドネシア、イタリアに次いで6番目になります。(写真8参照)火山国が上位を占めているのはいうまでもありません。

- 地熱発電の技術
地熱発電所は火力発電所のボイラーが地下深くにあると考えればわかりやすいと思います。地上は火力発電と同じ構造です。(規模は大きくなりますが)我国の火山地帯の地下数km~十数kmではマグマ溜りがあり地表からの雨水や河川水は加熱され熱水や蒸気として地下の中に地熱流体として蓄えられています。地上からボ-リングして地下の地熱流体を汲み上げ水と蒸気に分離し、蒸気にてタ-ビンを回し、水は地下に戻すわけです(還元水)。これは地下の環境保全と圧力維持が目的です。(写真9参照)
現在の国内にある地熱発電はシングルフラッシュ方式(地下から熱水を汲み上げ水と蒸気に分離して水は地下に還元し、取り出した蒸気でタ-ビンをまわす)が大半で、ダブルフラッシュ方式(地下熱水の温度が高いときに還元水からの蒸気を利用してタ-ビン出力を増す)、バイナリー発電方式(蒸気でタ-ビンを回すのではなく沸点の低い媒体を使用してタ-ビンを回し低温度の熱水で発電、カリーナサイクルはバイナリー発電の一種で低沸点媒体としてアンモニア水を使用)があります。(写真10、11参照)どの方式も地下から熱水と蒸気を汲み上げ、取り出した蒸気あるいは熱交換後の媒体蒸気でタービンを回すのは同じです。地熱発電の大きな特長として①CO2の発生が少ない、②地下の熱を利用しているので石油・石炭のように枯渇することはない。③国産エネルギーであること④安定した発電が可能であることなどがあげられます。

- 環境と地熱発電
地熱発電が原因で地盤沈下がおこったとか温泉が枯渇したとかということは、日本では事例はありません。(海外では急激に熱水を汲み上げたため地盤沈下したケ-スがありますが。)
日本の地熱発電所の開発では、非常に綿密に地層・地質の調査や周辺への影響を配慮しながら開発計画をたてているわけで、地熱発電所建設までには長いものですと調査だけで10年以上かけ、建設して運転するのにさらに数年と時間をかけています。さらに周辺環境のモニタリング(大気、水質、)も実施し、開発前、開発後を通し周辺環境の保全の維持に注意を払っています。地熱発電の開発期間(リ-ドタイム)が長いことを考えれば環境保全等にいかに力を入れているかがおわかりになると思います。

- 地熱発電の今後と将来
現在、国内での新規地熱発電所の建設はありません。また、発電量の横ばいの状態が1982年代~1990年、1994年~2006年とあり、地熱発電の量がなぜ増加していないのか?(資料12)という質問ですがこれは将来性の問題というよりも前述にもあるように地熱発電の開発期間が長いため、建設にすぐに着手できないという事情がこのグラフに表れているわけです。地熱発電所の建設には非常に綿密な長い調査が必要(地熱資源探査、坑井掘削・試験、経済性評価、貯留層評価、環境影響評価、地熱発電評価)です。このグラフは開発期間の長さを反映しているといえます。(第1世代、第2世代、現在は第3世代にさしかかっているといえます。)
長期の展望に立てば地熱発電はCO2削減、エネルギーの安定供給、他国に頼らない国産エネルギーというメリットがあり、現在、エネルギーの大半を海外に依存する我国にとって、技術開発含め今後、期待の持てる実現性の高い有望なエネルギーのひとつになるといえるでしょう。 今後の課題として①国の政策 ②開発コストの削減があげられます。①については、国の政策の一つであるRPS法(新エネルギーからの電力を電気事業者は買い取ることを義務付けている法律)の対象になっているのは、今のところ地熱発電ではバイナリー発電のみであることがあげられます。地熱発電は地域によって資源の質(温度など)にあった地熱発電の方式があり、RPS法の認定が売電価格など発電方式の選定に影響してきますので地域にあった地熱発電方式が選定しにくくなる可能性がでてきます。現在、国内の大半の地熱発電がシングルフラッシュ方式ですから、シングルフラッシュ方式もRPS法の対象になれば安定供給できる地熱発電の大きな推進力になると思います。②の問題は地熱発電所の開発費用における系統連系箇所への送電設備費用(電力会社の送電網への接続)の負担が大きいことが指摘されています。開発費用の割合は地域によって大きく異なりますが、ある地域では 地下1/3 地上1/3 送電1/3程度で、この中の送電コストを削減できれば(もちろん地下・地上の開発費用のコスト削減も必要ですが)発電コストが下がり経済性がでてきます。

- ヒアリングを終えて
地熱発電は安定供給のできるCO2の排出の少ない国産エネルギーとして注目している人は多いと思う。国の方でも委員会が結成されている。(経済産業省)今後の技術開発やエネルギー政策において地熱発電の推進にエールを送りたい。私達は地下に石油は無いが地熱という国産エネルギーがあると考えると不思議な「安心感」と様々なビジネスモデルが噴出してこないだろうか

上段左より
写真1:地熱・電力事業センター 副部長 北尾浩治氏、部長 永井保弘氏、広報・IR室課長 田沼良平氏
写真2:三菱マテリアル社の地熱事業実施場所及び調査地点(出典:三菱マテリアル資料)
写真3:三菱マテリアル社の地熱事業概要と地熱関連組織(出典:三菱マテリアル資料)
中段1左より
写真4:三菱マテリアル社 大沼発電所 概要 (出典:三菱マテリアル資料)
写真5:三菱マテリアル社 澄川発電所 概要 (出典:三菱マテリアル資料)
写真6:地熱資源分布図(出典:財団法人新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」
8P
中断2左より
写真7:各国の地熱ポテンシャルと既開発量の比較(出典:財団法人 新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」7P
写真8:世界の地熱発電設備容量(出典:財団法人 新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」10P
写真9:大沼発電所地域の地質構造資質地熱エネ(出典:三菱マテリアル資料)
写真10:地熱発電のしくみ(出典:財団法人 新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」15P
下段左より
写真11:地熱発電のしくみ(出典:財団法人 新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」16P
写真12:認可出力と発電電力量の年次変化(出典:財団法人 新エネルギー財団資料「地熱エネルギー(開発と利用・直接利用)」6P

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