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2008/12/15

世界に貢献する水処理膜技術 東レ株式会社 第1部 膜技術の概要

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45私達は水はいつでも身近にあり、「水があるのがあたりまえ」といった日常生活を送っている。宇宙からみた地球は70%が水で覆われて水の惑星といわれているが、その水の約97%が海水であることをご存知だろうか?残りの数%が淡水で生活に使用できる水であると聞くと何気なく使用している水に対しての考え方が変わり、地球上の水不足問題が身近に迫ってくる。今回は東レ株式会社に訪問し「海水を真水にする膜技術」についてお話を伺った。対応していただいたのは水処理事業部門 メンブレン事業第1部長 房岡良成氏、同課長(事業企画担当)丸橋清之氏である。今回は内容構成上2回の掲載にし第1部を膜技術の概要 第2部を進化する膜技術に分けて掲載していく。
*東レ株式会社の地球環境研究所は「ナノテクノロジーによるRO膜の孔径コントロール技術・この技術によって開発された高ホウ素除去膜」で平成20年11月12日 第8回日経 地球環境技術賞を受賞している

-水問題の現状-
水の問題は人口の増加と切り離して考えることはできません。人口が増えると当然ながら人間が使用する水(水使用量)は廃水も含め増加します。そうなると当然、人間はよりたくさんの水を確保しなければならなくなるわけです。世界人口65億のうち安全な飲料水(生活用水含む)を得られない人が11億人(内、アジア7億人)、衛生設備(下廃水・糞尿処理)が十分でない人は24億人(内、アジア19億人)もいるといわれてます。(出典IWMI 2006)(資料1参照) 私達が使用する水は大きく生活用水、農業用水、工業用水とに分けられますが、食料や工業製品などにも大量の水が必要なことはいうまでもありません。virtual waterという表現があるように食料(穀物)や工業製品ができるまでに相当の水が使用されているわけです。人口増加と水不足の関係は強く結びついており、人口増加に伴い節水や水を再利用する必要性がでてくるわけです。世界の人口の現状を考えれば水資源の問題がいかに重要であるかがわかると思います。

-水処理技術の変遷(浄化作用から膜技術へ)-
水の確保の歴史を見れば1800年代から人口の急速な増加に伴い自然の浄化作用だけでは人間に必要な水量と水質の確保が困難になり(資料2参照)、水を確保するための様々な技術が生まれました。現在では人口増加に対応するためには省エネでコストもかからず高速処理で高品質の水を作ることができる「水処理膜の技術」が必須で最先端の技術であるといっていいと思います。膜技術にもいろいろあります。高度な膜技術の一例として逆浸透膜(RO膜)があります。この技術は学校の理科で習ったことがある浸透圧(濃い塩類濃度の水と薄い塩類濃度の水の間を膜で仕切ると濃度の薄い側から濃い側に水が抜けてゆく現象)と逆の現象を利用しています。塩類濃度が濃い水に圧力(浸透圧以上の圧力)をかけ膜(素材の材質が工夫されたもの+水の分子を通過させることができる孔を開けたもの)を通過させて真水にするもので膜を通過した海水は塩分など水以外の物質が除去して淡水(真水)になるわけです。この膜技術が実用化されるまでは海水から真水を作る方法の主流として蒸発法が用いられていました。特に水資源の乏しい中東では水を得る主要な技術で、海水を蒸発させて淡水と海水(塩分)に分離し、淡水を得るのですが、エネルギー効率はあまりよくありません。現在ではコスト・運転しやすさなどからみて膜技術が主流となってきています。資料にあるように処理水中の不純物量、処理コスト低下率等 弊社比ですが1978年と比較して不純物の量は 1,5から0,2へ処理コストは膜性能向上により100から9,7になっており、膜技術は水処理技術の主流になったといえるでしょう。(資料3参照)

-膜技術の種類と用途-
膜は孔の大きさに基づいて4種類に分類され、それぞれ用途が異なります。いくつか紹介しますと膜の種類と膜用途として1)RO(Revers Osmosis)膜::海水の淡水化、超純水、排水高度処理、果汁・乳製品・化学薬品の濃縮、2)NF(nanofiltration)膜:硬水(カルシウムを多く含む水)を軟水化、有害物質の除去、3)UF(Ultrafiltration) 膜:細菌・ウィルスの除去、医療分野における人工透析、4)MF(Microfiltration)膜:下排水処理 汚泥処理等です。(資料4参照) 膜の孔はRO膜、(資料5参照)、 NF膜、UF膜、MF膜の順に大きくなり、それぞれの孔径と除去する対象物の大きさにあわせて、有害なトリハロメタン、農薬、ウィルス、バクテリア、クリプトスポリジウム等を除去することができます。

-膜技術の研究-
弊社はご存知のように有機合成化学、高分子科学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、をコアとした先端材料メーカーで長年高機能膜・水処理技術を培ってきました。逆浸透膜の研究開発は1968年に開始し、1980年半導体の製造用超純水をつくるRO膜(逆浸透膜)の開発・商品化に成功したのをはじめ、様々な膜を開発してきました。現在では4種類の膜すべてを製品化しており、全てを自社開発したのは世界でも例のないことです。また、異なる膜を組み合わせて効率的な水処理を実現する統合的膜処理システム(インテグレイテッド・メンブレン・システム)においても、各種膜技術を開発、保有している強みが発揮できます。弊社のみならず我国の膜技術が注目されるのは1)素材開発技術、2)微細加工技術ハイレベルであることがいえるでしょう。

-ヒアリング(取材)を終えて-
世界の水問題についての認識が不足していることを痛感した。また、海水を真水にする技術が国際的に大きな貢献していることや膜技術の応用範囲が広く、私達の生活に必要不可欠な技術であることを再認識した。コップに水道水を入れてじっくり飲み、水の味を噛み締めたしだいである。

左より写真上段:水処理事業部門 メンブレン事業第1部 課長(事業企画担当)丸橋清之氏、水処理事業部門 メンブレン事業第1部長 房岡良成氏、資料1:水資源の現状、資料2:人口の増加と水処理技術の進化、写真下段:資料3:蒸発法と膜処理の特長、資料4:膜の種類と膜製品、資料5:RO(逆浸透膜)出典:「世界の“水環境”課題解決に貢献する東レの水処理技術」 2008-11-18'TORAY'innovation by Chemistry より

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