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2008/06/16

身近にある環境技術 ヒートポンプ・蓄熱技術 (財団法人 ヒートポンプ・蓄熱センター訪問)

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ヒートポンプや蓄熱という言葉はよく聞くが、その原理など以外と知らない人が多い。今回は温暖化防止技術として期待されているヒ-トポンプと蓄熱の技術の原理・応用・将来について財団法人 ヒ-トポンプ・蓄熱センターを訪問し、業務部 課長の矢田部隆志氏と同課長代理 松本圭一氏に話を伺った。

- 最近、ヒートポンプを耳にする機会が増えたが
 ヒートポンプは身近なところでは給湯や冷暖房、洗濯乾燥機などに導入されることが期待されています。日本の家庭で消費するエネルギーの内訳は、約4割が家電製品、約3割が暖房、残りの3割が給湯で占められています。すなわち、暖房と給湯で半分以上を占めているのです。さらに、この暖房と給湯で消費するエネルギーの90%は石油やガスといった化石燃料なのです。このことは意外に知られていません。民生部門のCO2排出量は、産業用に比べると大幅に増加しており、暖房・給湯での省CO2化が大きな課題となっています。ヒートポンプは化石燃料の代わりに自然エネルギーである空気の熱エネルギーを活用するものです。化石燃料を削減できるわけですから、CO2の排出を抑制できるのです。 当財団の試算では、現在使われている民生部門(家庭用、業務用)の空調、給湯の燃焼システム全てをヒートポンプ・蓄熱システムに置き換えることができれば、約1億トンのCO2削減効果が期待できます。

- ヒートポンプの仕組みについて
ヒートポンプは家庭に普及しているエアコンの原理を考えていただければわかりやすいと思います。エアコンは冬は暖かい空気を室内に流し、夏は冷たい空気を室内に流しているわけで、その原理はそれほど複雑ではありません。気体を圧縮すると熱を持ちます。また逆に気体を膨張させると外部の熱を奪います。(気化熱)スプレー缶など連続噴出して缶の内部が減圧すると缶がヒンヤリしますがあの現象をイメージしてもらうのがわかりやすいと思います。圧縮機と膨張弁がついている菅の中に冷媒(気体↔液体)を循環させ、さきほどの原理で外気を暖めたり冷ましたりしているわけです。(冷媒は従来はフルオロカーボンが使用されていたが、オゾン層に害のない代替フロンやCO2などが使用されている。)管に触れた時点で管の外の空気が管の中の冷媒より温かい場合は外の空気は冷め、逆に管の外の空気が管の中の冷媒よりも冷たい場合は外の空気は温まるわけです。管は熱交換器と考えればわかりやすいでしょう。燃焼式機器や灯油やガスを燃やしてエネルギーを取り出す場合は、その場所でCO2が発生する。しかし、ヒートポンプは燃焼を伴わない技術であるため、導入した場所でCO2は発生しない。また、ヒートポンプは「1」の電気エネルギーを使って空気中から「5」の熱エネルギーを取り込み、、「6」のエネルギー利用しているため、エネルギー消費量が少なくなります。(1/6の電力エネルギー)。このようにヒートポンプは「化石燃料を燃やさない」で、「空気中の熱を移動させる」技術なので、「省エネでCO2の排出も少ない」技術として注目されているわけです。

- 蓄熱技術について
真夏の電力使用時によくピーク時の電力使用という表現がされて、電力使用を控えめにという報道が流れることがあると思います。このことをイメ-ジすればわかると思いますが電力は大半は昼間の暑い時間帯に使用されていて、夜間は昼間の使用量と比較すると少なくアンバランスになっています。又冷暖房を使用する季節と使用しない季節のアンバランスもあります。このエネルギー使用量の山(昼間)を谷(夜間)へ移行することを『負荷平準化』といいます。平準化することで発電設備の無駄を省き(小型化)、省エネルギーが実現できます。具体的には夜間の安い電力で熱源機を動かし蓄熱槽に夏は冷水(氷)、冬は温水を蓄え、その蓄えられた氷や温水で昼間の冷暖房を行うわけです。化石燃料の使用比率が低い時間帯の夜間電力を使用することはCO2排出量も削減できるわけです。エコ・アイスという名称でご存知の方も多いと思います。

- 応用と将来
現在、ヒートポンプの技術が応用されている製品は自動車や家庭のエアコンや洗濯機、冷蔵庫、給湯器など、用途が広がっています。熱移動を利用しているのでエネルギー使用量は少なくて済み、当然、CO2排出量も削減します。ヒートポンプのエネルギー効率『(Coefficient of Performance,COP):熱利用側に供給した熱エネルギー/消費したエネルギー』は3以上の達成が目標になっていますが、なかでも、電力中央研究所などが開発した自然冷媒(CO2を冷媒に使用)給湯機エコキュートはCOP(エネルギー効率)の面からもCO2削減の面からも私達の身近にある優秀な技術といえるでしょう。(現在、家庭に普及中)。また、ヒートポンプ技術では地下水や地熱を活用した熱源冷暖房システムなどが研究されており、ヒートポンプの応用範囲はさらに拡大していくと思います。ヒートポンプ技術と蓄熱技術は様々なビルや施設で現在、実際に公的施設や企業のビルや学校で使用されており、この「ヒートポンプ技術・蓄熱技術」の推進により省エネで大幅なCO2の削減が達成できると考えています。

- ヒアリングをおえて
無尽蔵にある空気の熱や自然の大地の熱を利用するヒートポンプ技術は私達の身近にある省エネでCO2を削減する技術であることが理解できた。一般家庭から地域まで幅広い応用が可能な技術であり、今後さらなるシステムの普及と技術開発を期待したい。

写真 左より上段:(身近で活躍しているヒ-トポンプ)、(ヒートポンプの原理)、(ヒートポンプの動作)、中段:(財団法人 ヒ-トポンプ・蓄熱センター 業務部 課長の矢田部隆志氏と同課長代理 松本圭一氏)下段:(蓄熱とは)、(蓄熱のイメ-ジ図)、(ヒートポンプ実験キット)、(日本経済新聞社に掲載した提言:「ヒートポンプで地球を救おう」2007.12.19)
出典:(財)ヒートポンプ・蓄熱センター『快適空調報告書』

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