豊富な資源の画期的な利用:海藻発電(バイオマス発電)の推進



今回は海藻を活用するバイオマス利用技術で話題になっている東京ガス(株)を訪問し新エネルギー・環境プロジェクト室主幹の高橋克章氏に「海藻発電」について話を伺った。
-バイオマス発電について
バイオマス発電とは、有機物で構成されている植物などの生物体(バイオマス)を燃料として利用して電気や熱を作ることです。資源としては1.乾燥している木質系残材、や農業残渣(稲藁、もみ殻等)、2.水を多く含んでいる食品残渣(食べ物の残り)、漁業残渣(魚の残り)、下水汚泥、厨芥ごみ(家庭の料理ごみ)、3.他、パ-ム、糖、でんぷん、生活で出てくる廃棄油、などが考えられます。植物は成長過程で光合成によって空気中のCO2から有機物作り出しているので、バイオマス(有機物)を利用してCO2が発生してもTOTALのCO2量は増えないので有機物をエネルギー源にする技術は環境にやさしい技術と 言っていいでしょう。
-海藻発電のしくみについて
東京ガス(株)は平成14年度から国(NEDO)との共同実験を行っています。(バイオマス等未活用エネルギーを用いた実証試験事業・同事業調査/海産未活用バイオマスを用いたエネルギーコミュニィティーに関する実証試験事業、H18年度終了)。実験ではバイオマス原料として海藻バイオマスに注目、閉鎖性海域に大量発生し漂着ゴミとして焼却処分や埋め立て処分されているアオサや海場保護(波消し)で養殖され刈り取り後、食用に用いられることなく処分されているコンブを発酵させ、メタンを主成分とするバイオガスを製造し、従来の都市ガスと混燃(混合・燃焼)させて安定したエネルギーの供給と省エネルギーの実現に取り組んできました。「このメタン発酵ガスのシステムは図(写真 参照)にあるように回収した海藻を破砕・分別して希釈水を加えてスラリー状(どろどろの状態)にして前発酵層にて可溶化し、その後メタン発酵層でメタン発酵をさせる(2段階)。生成したバイオガスは脱硫処理後、都市ガスと混合し安定したエネルギー源として利用する。残渣(肥料の要素である窒素やリンを含んでいる)は脱水機にかけて肥料原料として利用します。」バイオマス原料としては、有機性廃棄物であれば海藻以外でも十分に対応ができ、アオサ、コンブ以外でも牛乳、おから、牛糞尿、豚糞尿、生ごみなどでも発電はできます。(エネルギー交換率は異なりますが)バイオガス・都市ガス混焼する技術はエネルギーを安定供給する要になるわけですがこの技術は既にいくつかの企業への導入事例もあり完成している技術といっていいでしょう。(写真 参照)
-バイオマス利用技術の推進について
全国の閉鎖性海域で大量発生するアオサは、海岸に.打ち上げられると悪臭や景観を損ねる原因となるため、アオサが発生している自治体ではその処理に困っているのが現状です。アオサは水分を大量に含むため焼却処理をする場合、補助燃料が必要となります。アオサを焼却処分するのではなく、メタン発酵し発電することで、海で囲まれた日本は豊富に入手できるバイオマス源を持つことになるわけです。それは温暖化防止にも繋がります。ただ現状ではアオサの被害が少ない自治体はなかなかバイオマス(海藻)発電を検討するという流れにはなっていません。省エネで温暖化防止になり、豊富に利用できるエネルギーシステムであるこのシステムが地域から地方へ、地方から国へという流れを形成することを期待しています。
-取材を終えて
話を聞いていて思ったことは海藻バイオマス発電の推進は1)国産エネルギー源の確保、2)省エネ・温暖化防止の対策 3)エネルギーの分散化(バイオガスの熱源・発電)の促進等 多くのエネルギー対策の方向性を示唆していると感じた。今後の事業化に期待したい。
写真左より:(メタン発酵ガス化システム)、(含水率の高い有機性廃棄物)、(混焼技術)、出典「バイオガス利用技術:東京ガス株式会社&株式会社 エネルギ-アドバンス」、東京ガス株式会社 新エネルギ-・環境プロジェクト室 主幹 高橋克章氏
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コメント
この技術の実用化はされているのでしょうか?実用化の場所と企業名がわかれば教えてください。
投稿: 上田和芳 | 2009/07/06 17:01