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2007/03/01

水素エネルギーを建築設備へ(水素エネルギー利用システムの開発)

Img_0043_1209_1Photo_6水素エネルギーや水素吸蔵合金の話を聞いたことがある方が多いと思うが一般には自動車の代替エネルギー(ガソリンの代わりに水素を使用)として取り上げられるケ-スが多い。だがその応用範囲は広く、この技術の推進と実現は人間の大きなエネルギー革命として位置付けられるといって過言ではないだろう。今回は(独)産業技術総合研究所と共同で、水電解装置(産総研で開発した製造方法を使用)や水素吸蔵合金タンクの最適設計技術を確立し、このほど水素の生成と貯蔵機能を有する5kW級電気・熱エネルギーの供給システムの開発に成功した高砂熱学工業(株)を訪問し、高砂熱学工業株式会社 総合研究所 執行役員・所長の高橋惇氏にお話を伺った。
- 水素吸蔵合金について
水素を吸蔵するためには、水素と仲の良い金属、つまりマグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ランタン(La)などが必要です。逆に水素を放出するためには、水素と仲の悪い金属、例えばニッケル(Ni)や鉄(Fe)などが必要です。これらを混ぜて合金にします。この合金を加圧したり減圧したりすると、水素を吸蔵したり放出したりするようになります。水素を溜め込むことが可能な金属と考えていいでしょう。
- どれくらいの水素が溜め込まれるのか
主な水素吸蔵合金はだいたい体積の1,000倍の水素ガスを貯蔵することが可能です。
水素は直接燃焼で熱エネルギーとして利用できますが、水素から質の高い電気エネルギーを造ることが目的ですから水素を貯蔵できるタンクを作り、電力の需要に応じて、燃料電池で電気エネルギーに変換すれば良いわけです。エネルギー貯蔵の方法を比較すれば水を利用した水蓄熱の方法だと1㎥あたり30kWh氷蓄熱の方法だと120kWh、なんと水素だと2,700kWhものエネルギーを貯蔵できます。水素吸蔵合金がエネルギーを高密度に貯蔵できることが、この比較からも一目瞭然だと思います。
- 特徴と今後の展開
水素エネルギーの特徴は多用なエネルギー源から生産でき、多用なエネルギーとして利用できることです。電気、ガスのほか、風力、太陽光など自然エネルギーを使って水素を生産できます。又水素吸蔵合金は、バッテリーのような放電ロスがなく長期間の水素貯蔵が可能です。同時に、水素を吸蔵する際には吸熱、放出する際には放熱反応を伴うので、熱エネルギー利用が可能です。
当社の水素利用システムは以下の通りです。水の電気分解はご存知だと思いますが、1)水を電気分解して水素を取りだし、水素吸蔵合金に蓄える。2)次に水素吸蔵合金から水素を燃料電池に供給し、電力と熱を得る。(水素放出時の吸熱を冷熱源として、燃料電池の発熱を温熱源として利用する。)3)電力、熱をビル設備のエネルギーの一部として利用するわけです。また、電気自動車に電力、水素自動車には直接水素を供給します。(もちろんどちらもクリ-ンなエネルギーであることはいうまでもありません。)今後の展開として、水素吸蔵合金タンクに再生可能な自然エネルギーによる電力を水素で貯蔵し、需要に応じて電力を供給する機能の応用として、次のような有用な機能を提供できる可能性を秘めています。
1)熱・電力設備への活用
・自然エネルギー利用の平準化
・非常用電源/無停電電源としての兼用
・時間/日/週単位の電力負荷の平準化
・水素吸蔵合金のヒートポンプ運用による冷熱源機の削減
2)コンパクトシティ対応の移動手段としての活用
・水素自動車への水素ガス供給
・電気自動車の充電用電力供給
3)水・空気浄化への活用
・副成する酸素ガスを用いた水/空気の清浄化・脱臭処理
4)ビル群のエネルギーネットワーク化など
・用途により異なるビルの熱需給収支の平準化・高効率化
・マイクログリッドによる電力需給収支の平準化・高効率化
最後に非常に夢のあるエネルギーであることはまちがいないのですが、現在のところ5kW級の電力および5kW級程度の熱エネルギーの供給に成功した段階です。実用化にはさらなる研究開発が必要です。また産官学等の支援体制など水素エネルギーを普及していく様々なインフラの整備も必要になってきます。
ヒアリングを終えて:住環境において水素エネルギーの導入技術が普及しだすとエネルギー革命の大きな第1歩になるだろう。研究開発の推進にエ-ルをおくりたい。
写真左より:(高砂熱学工業 総合研究所 執行役員・所長 高橋惇氏)、(総合研究所の水素吸蔵合金タンク)、(水素エネルギー業務用建築設備の導入イメ-ジ図)

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