世界初の画期的なFRPのリサイクル技術の開発 日立化成工業株式会社 機能性材料研究所









リサイクルは技術力と経済性がともなわないと実現できないといわれている。今回は使用済みFRPからFRPを再生する画期的な技術を開発した日立化成工業 機能性材料研究所を訪問しお話を伺った。
リサイクルとは「再生し利用すること」の意味であり、例えば古紙からトイレットペ-パーなどを作ることを考えればわかりやすいと思います。簡単にいうと再資源化し再利用するといっていいでしょう。ただそのためにはいらなくなったもの、捨てられたものから再資源として取り出す技術が必要になってくるわけです。またこのリサイクルの考えに重要なことは採算性があうかどうかの検討です。費用がかかってしまうとせっかく再利用ができる製品ができてもコストがかかり誰も利用しないことになり、再生利用するリサイクルの本旨からも外れていくことになります。「もとあったものからもとあったものに」ということがコストがかからず実現できればそれが本当のリサイクルといっていいでしょう。現在、注目されている使用済みFRP(繊維強化プラスチック)からガラス繊維を回収し再生FRPを作る技術はもともとパソコン等のプリント基板から銅やガラス繊維などを取り出しリサイクルさせることを目的に開発したもので、その技術をFRPのリサイクルに応用できないかをさらに研究したわけです。もちろん先ほども述べましたが採算性も考えてです。使用済みのFRPの処理は現状、回収して破砕(こまかく砕いて)し1%がセメントの原料になり、1%が充填材(製品の強化や補強する材料)に使われ98%は埋め立てられています。そこでコストかけずに「FRPからFRPを」再生することができないかを検討したわけです。開発した技術(常圧溶解法)の特長は1)従来のFRPの処理に必要であった破砕処理をしないためそのぶんコストダウンができる。2)回収できるガラス繊維が粉砕されてないため再びFRPの素材として活用できる。3)加圧高温下での処理でなく常圧下での処理のため低コストの設備でよい。4)使用する触媒・溶媒・洗浄水はすべて回収し再使用し公害処理設備は必要ない。以上の4点があげられます。具体的には化粧品原料のベンジルアルコ-ルと食品添加物のリン酸三カリウムの溶液の中に使用済みFRPを入れて190度熱をかけると(12時間)、FRPの原料のガラス繊維とFRPの充填材に分離することができます。回収したガラス繊維から再びFRPが誕生するわけです。この開発に関しては2002年度に国(経済産業省)の補助金でパイロットプラントを建設し、現在、溶解処理槽(200L×2槽)で昼間だけの運転で200Kg/月のFRPを処理していますが、この槽を大きくすれば当然ながら処理能力はあがることになります。またこの技術を用いて炭素繊維を用いた製品(カ-ボンファイバーゴルフシャフト)から炭素繊維の回収、寿命が20年から30年のモールド変圧器(電力会社などで使用)からアルミ、銅、シリカの回収も可能です。
プラントを見学して驚いたことは装置がシンプルでリサイクルの工程がわかりやすく目で追えることである。画期的な世界初のリサイクル技術の台頭を予感させる。
写真 上段左より:機能性材料研究所 リサイクル技術グル-プ 主任研究員 柴田勝司、同リサイクル技術グル-プ 専任研究員 前川一誠氏、廃FRP漁船から切り出したサンプル、2段左より:同サンプルを溶解処理する途中で取り出したもの、同サンプから回収したガラス繊維、パイロットプラント、3段左より:溶解槽に入れる鉄道車両窓枠、溶解槽、回収した分解樹脂の溶媒・溶解後の回収充填材、下段:回収ガラス繊維・洗浄前溶解物
| 固定リンク

コメント