文化芸術を推進する「株式会社NTTArtTechnology」
(写真 左 鈴木健広 取締役、デジタルアート推進部長、 北斎 上町祭屋台天井絵 男浪、女浪 2024.11.9~2025.3.30
北斎展 ICCギャラリ-於)
環境とは何かと辞書で調べると「めぐり囲む区域」「四井の外界「周囲の事物」「人間又は生物を取り巻き、相互作用を及ぼしあう外界」と定義付けられている。一般的に環境という言葉から「私達人間に影響を与える外界」とまとめることができるだろう。(各専門分野では細かく異なる見解有)。
ともすれば環境というとどうしても自然環境に意識は向きがちであるが、人間に影響を与える外界という意味では自然だけでなく人間の創り上げた文化も環境の中に含まれることになる。解釈を広げると環境を保全することの意味は持続可能な自然や文化を次世代へ残すことであり、人間の社会に大きな影響を与える文化・芸術を保全することに他ならない。そしてその保全技術は重要な環境技術であることはいうまでもない。
今回は文化財をデジタル化し保全する壮大な事業を推進する株式会社NTTArtTechnology社に訪問し、その内容についてお話を伺った。対応していただいたのは取締役、デジタルア-ト推進事業部長である鈴木健広氏である。
- 文化財のデジタル化保全について
文化芸術の価値はまず、認知してもらうこと、みなさんに知ってもらうことがスタ-トになります。今、現在、この場所に、このような文化財があり、それを知ってもらう方法としてデジタル化があるわけです。例えば、絵画でいうとオリジナル作品(原画)は空気や光に当たることで、退色、変色等の劣化が生じます。デジタル化(複製物)であれば明るいところでも自由に鑑賞でき、損傷もありません。オリジナル作品を保存しながら、デジタル化(複製物)したものを多方面に活用してもらう事業が文化芸術の推進になるわけです。
- デジタル化の技術について
弊社の画像データはアルステクネグループが保有する3次元質感処理技術を用いて億単位の画素数で超高精細デジタル記録を行い原画のタッチや微細な凸凹、立体質感が忠実に再現されており、高速で安全な配信を実現しています。(NTT東日本・西日本の回線活用)
フランス国立オルセー美術館所蔵の絵画、山梨県立博物館所蔵の葛飾北斎の版画、大阪浮世絵美術館所蔵の歌川廣重の版画、神奈川県立歴史博物館所蔵の版画、岩松院本堂天井絵「鳳凰図」、北斎館所蔵の葛飾北斎晩年の肉筆画作品等 所蔵元より公式レプリカ(複製物)として認定されています。また、葛飾北斎が生涯で唯一創作に関わった立体作品と言われる祭屋台装飾を、細部まで忠実に再現した3D デジタルアプリケーションも開発しております。
- デジタル化と事業展開について
冒頭にもいいましたが、文化芸術の価値は「認知してもらうこと、みなさんに知ってもらうこと」がスタ-トになり、その方法としてデジタル化があるわけです。デジタル化することによって多角活用できる質の高い情報コンテンツ(文化芸術:史料、絵画、工芸、伝統芸能、熟練技能、祭り、建築物)になるわけです。その情報コンテンツはネットワ-クを通じて拡散していき、(学校教育、病院、オフィスビル、官舎、空港、旅館、ホテル、家庭・・・・)身近に触れることができるようになり、さらなる文化芸術の推進になっていきます。
4. 訪問を終えて
NTTArtTechnologyが推進している事業はこれからの文化芸術の在り方を示唆する壮大な事業で、国内のみならず国際的な事業であることを痛感した次第である。デジタル技術を用いた未踏の新しい事業にエールを送りたい。
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